「マイホームを売りたい!」「中古住宅を買いたい!」
そう思った時、まず気になるのが「どんな費用がかかるんだろう?」ということですよね。
実は、不動産売買には様々な費用がかかります。
「えっ、こんなに!?」
とビックリしてしまうような高額な費用もあるんですよ。
でも、事前にしっかりと準備しておけば、安心して売却を進めることができます。
そこで今回は、不動産売買にかかる費用について、分かりやすく解説します。
「不動産の取引は初めてなんだけど…」
という方も、安心して最後まで読んでくださいね。
不動産売却にかかる費用
仲介手数料
買い手を探すために不動産業者が販促活動をおこない契約の仲介をした場合、売主様から業者に支払われるのが仲介手数料です。業者は買主様との間に立ち、条件の調整や契約事務を行います。物件情報サイトへの広告掲載や、チラシ作成・配布などさまざまな方法で販売活動をおこなうため、これらの営業活動で発生した費用も手数料に含まれます。
仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法により以下のように定められています。
取引額 | 仲介手数料の上限(税別) |
200万円以下 | 取引額×5% |
200万円超~400万円以下 | 取引額×4%+2万円 |
400万円超 | 取引額×3%+6万円 |
※2024年7月1日に宅地建物取引業者の報酬規定が改正され、800万円以下の不動産売買における仲介手数料の上限が最大33万円に引き上げられました。
印紙税
買主様が見つかったら売買契約書を交わすことになりますが、売主様と買主様それぞれの契約書に貼る印紙代として印紙税を負担しなければなりません。
契約書に記載された金額によって、以下のように変動します。なお、令和9年3月31日までは軽減税率が適用されます。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
10万円超~50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円超~100万円以下 | 1000円 | 500円 |
100万円超~500万円以下 | 2000円 | 1000円 |
500万円超~1000万円以下 | 10000円 | 5000円 |
1000万円超~5000万円以下 | 20000円 | 10000円 |
5000万円超~1億円以下 | 60000円 | 30000円 |
電子契約の場合、印紙税は不要です。
所有権の移転登記関連書類の費用
引渡し(買主への所有権移転登記)の際などに必要となる個人書類の取得費用です。固定資産評価証明書・住民票・印鑑証明書など役所で発行する書類が多く、1通300円前後で取得できます。また、不動産の登記識別情報(権利証)を紛失している場合は司法書士による本人確認が必要となり、その場合は数万円の費用がかかります。
土地境界確定測量費用
不動産を売却するにあたり、隣の家と土地が隣接している場合、どこからどこまでが自分の土地なのかを明確にしなければなりません。土地の境界を測量する際は、土地家屋調査士に依頼することになり、100㎡程度の宅地でおよそ30~50万円の費用がかかります。なお、すでに境界が明確な場合は必ずしも必要ではありません。
抵当権抹消登記の費用・住所氏名変更登記の費用
売却をする不動産を住宅ローンで購入していた場合、売却時にローンを完済していたとしても抵当権はついたままですので、抹消登記の手続きをする必要があります。また、登記されている所有者の氏名や住所が売却時と異なる場合も、現在の状態に変更する必要があります。どちらも登記の際に登録免許税がかかります。
一般的にこれらの手続きは、売主様から買主様への所有権の移転登記を行う司法書士に併せて依頼をすることが多いので、司法書士への手数料も発生します。
抵当権抹消と住所氏名変更登記は必要書類さえ揃えれば、売主様自身で手続きをすることもできます。ただし契約後、引渡しまでに行わなければ契約違反になってしまうので、ミスや遅れがないよう確実に行う必要があります。
譲渡所得税
不動産を売ったときに出た利益を「譲渡所得」といいます。利益が出た場合には確定申告をする必要があり、譲渡所得税という税金(所得税、住民税)が課税されます。不動産を売却しても利益が出なかった場合には、税金は発生しません。
課税対象になる譲渡所得(利益)は、売却金額から様々な費用を差し引いた金額に対してかかります。算出方法は以下のとおりです。
譲渡所得 = 不動産の売却価格 ー 取得費※1 ー 売却時の費用※2 ー 特別控除
※1:不動産購入時にかかった全ての費用。不明な場合、売却価格の5%相当を取得費とできる
※2:仲介手数料+売買契約書の印紙代+登録免許税+測量費用+クリーニング費用など
特別控除については一定の条件を満たす場合、控除することができます。
特別控除の種類 | 控除額 |
公共事業のための土地・建物の売却 | 5000万円 |
マイホーム用の土地・建物の売却 | 3000万円 |
被相続人の居住用財産(空き家)の売却 | 3000万円 |
特定土地区画整理事業のための土地の売却 | 2000万円 |
特定住宅造成事業のための土地の売却 | 1500万円 |
農地保有の合理化のための土地の売却 | 800万円 |
また、譲渡所得にかかる税率は売却した不動産の所有期間によって変わり、下表のようになります。
不動産の所有期間 | 所得税 | 住民税 | 合計 | |
5年以下 | 30.63% | 9% | 39.63% | |
5年超 | 15.315% | 5% | 20.315% | |
10年超 (住居用のみ) | 6,000万円 以下の部分 | 10.21% | 4% | 14.21% |
6,000万円 を超える部分 | 15.315% | 5% | 20.315% |
No.3211 短期譲渡所得の税額の計算|国税庁 (nta.go.jp)
No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例|国税庁 (nta.go.jp)
基本的には5年を越えるか超えないかで税率が大きく変わり、10年を超えて住んでいたマイホームの場合は、特例でさらに税率を抑えることができます。
以上が不動産の売却時にかかる主な費用です。不動産の状況や権利関係によって、クリーニング費用や許可申請などのその他の費用がかかる場合もあります。
売却価格から諸費用を差し引いて最終的にどれだけの金額が手元に残ることになるのか、不動産業者に資金計画を作成してもらうとよいでしょう。
不動産購入にかかる費用
仲介手数料
金額については「不動産売却にかかる費用」をご参照ください。
印紙税
「不動産売却にかかる費用」をご参照ください。
手付金
売買契約後に、買主様から売主様に渡すお金のことです。宅建業法では、消費者保護の観点から手付金は原則的に「解約手付」として取り扱われます。解約手付とは、放棄することで契約を任意に解約できるというもので、最終的に売買代金の一部に充当されます。
登録免許税
代金の決済、つまり売買代金から手付金を差し引いた残金の支払いと同時におこなう、所有権の移転登記にかかる税金です。登記の種類により一定の税率が定められています。
登記の種類 | 本則税率 | 軽減税率 |
土地の所有権移転登記(売買) | 2.0% | 1.5% |
土地の所有権移転登記(相続) | 0.4% | ー |
建物の所有権移転登記(売買) | 2.0% | 0.3% |
抵当権の設定登記 | 0.4% | 0.1% |
司法書士への手数料
一般的に所有権の移転登記は司法書士に依頼するため、手数料が必要となります。
固定資産税の日割分
所有する不動産に対してかかる税金です。1月1日時点での所有者に対して1年分の納付書が届きます。年の途中に引渡しがあった場合は、1月1日を起算日として引渡日~12月31日までの日割分を買主様から売主様へ支払う形となります。
税率は
- 固定資産税:固定資産税評価額×1.4%
- 都市計画税:固定資産税評価額×0.3%
また地方税法上の特例措置として、住宅用地の課税標準は下表のようになります。
区分 | 面積 | 固定資産税 | 都市計画税 | |
小規模住宅用地 | 200㎡以下 | 1/6 | 1/3 | |
一般住宅用地 | 200㎡超え | 1/3 | 2/3 |
不動産取得税
不動産を取得した人に一度だけ課される地方税です。取引終了後、買主様宛に送付される納税通知書に基づいて支払います。
税率は
- 建物の固定資産税評価額×3%
- 土地の固定資産税評価額×3%
令和9年3月31日までに取得した土地については、固定資産税評価額を2分の1に減額した金額に3%を乗じて計算します。
住宅ローン関連費用
住宅ローンを利用する際には、主に下記のような費用がかかります。
- 融資手数料:金融機関と住宅ローン契約をする際に必要
- ローン保証料:ローンの返済が何らかの理由で滞ってしまった場合に、保証会社に立て替えてもらうための費用
- 団体信用生命保険料:住宅ローンを借りた人が万が一死亡したり、高度障害状態になってしまった場合に備えて加入するもので、保険が下りるとローンが完済されます
- 印紙税:金融機関とのローン契約書に貼る印紙代
- 火災保険料・地震保険料:住宅ローン利用には火災保険への加入を必須としている金融機関がほとんどです。ただし火災保険は地震の被害を補償できないため、地震保険にも入る必要があります。
ライフライン関連費用
新しく宅地として造成した土地を購入した場合、下記のような費用がかかることが多いです。
- 上水道加入金:新しく水道を引込み、メーターを設置した際に自治体に支払う費用
- 下水道受益者負担金:宅地から下水道へ接続する際、土地の面積に応じて自治体に支払う費用
その他の費用
物件によっては必要な費用として
- 開発許可申請費用:建物を建てる目的で購入した土地が市街化調整区域であった場合、開発許可申請が必要となるため、行政書士に申請代行を依頼する費用
- リフォームやクリーニング費用:中古住宅を購入する場合、予算に入れておいた方がいいかもしれません
以上が不動産の購入時にかかる主な費用です。余裕を持った資金計画を立てておくことをおススメします。
売却の場合と同様、購入価格と諸費用を含めると全体でどれだけの金額が必要となるのか、不動産業者に資金計画を作成してもらうとよいでしょう。ローン利用の場合は必ず金融機関に資金計画を提出する必要があります。